2016-12-21

おいしい革命!映画Edible Cityを観て未来について語り合ってきた。

会場であるAsaba Art Squareの置物たち


みなさんこんにちは、mihomihoです。

ハリウッドやクラシック映画もいいけれど、私はノンフィクション映画が大好き!
学生時代は、たまに渋谷のアップリンクに出かけてはお気に入りの椅子を選んで映画を眺めたり、時には大学の図書館で友人と一緒に観て、その後ディスカッションしたり….

最近、カフェなどを利用した上映会やミニシアターを中心として、社会問題や面白いムーブメントをテーマにする映画が頻繁に上映されるようになってきました。

今回は、先日友人に誘われて参加し、大感動した上映会Edible CityAsaba Art Squareについて紹介します。



ガーデンからの革命

サンフランシスコ、バークレー、オークランド。いわゆる「ベイエリア」と言われるアメリカ西海岸の地域で、問題だらけのフードシステムに立ち上がり、空き地やコンクリートを「食べられる」ガーデンにしていく、そんな運動が市民によって広がっています。

以前、取り上げたせせらぎ農園の記事の中でも、世界では、コミュニティガーデンというみんなで耕す畑が増加していて、その始まりはアメリカであったと紹介しました。

この映画は、「食の砂漠」「肥満」など深刻な問題に直面した私たちと同じ市民が、まさにそのコミュニティガーデン、学校、商店などを中心に「おいしく」「楽しく」地域から世界を変えていこうとする草の根の運動を取り上げた映画なんです!

まずは予告編をどうぞ!




Youtubeより



見どころ


これから観る方もいると思うので、ここでは特に印象に残ったシーンだけを紹介!


1.コンクリートを破壊!!!

映画の前半で、いきなりコンクリートを破壊し、ガーデンを作り始める人の姿が映されました。

ここで観客である私たちの「常識」は完全に破壊されますwww


2.ヘルシーな革命が市民の力が政治を変える

映画で取り上げられる活動は全て畑を中心に回っています。カメラは、危機的な地球規模の食や環境を取り巻く問題を前に、自分たちの食べ物は、自分たちで、環境にも人にも優しい持続的なやり方で、地域で作っていこうという共通の信念のもと、様々な方法でそれを実現していく人々を写していきます。

上映会で振舞われた野菜。本当に美味しかった!
“We’re doing all this work for sustainable agriculture. And it works. And yet these are still small islands of sustainability. Even if you’re more resistant, more resilient, more sustainable, spread the wealth better, feed more people. It’s not enough just to be a good farmer and in fact you also need to be an advocate and activist. And you need to create the political will in order to make the changes that you need. 私たちは持続可能な農業のための運動をしているんです。そしてそれは現に成功している。でもこれらはまだほんの始まりでしかない。もし皆がもっとresistantresilientsustainableだったら、富はより良く分配され、より多くの人を養えるんです。農家でいるだけでは足りない。我々は同時に、提唱者であり活動家でなければならない。そして、私たちが望む未来のために政治そのものを形作っていく必要があるんです。 Eric Holt-Gimenez

“We know where power really lies. Power lies in people. 僕たちは力ってものが本当はどこにあるのか知っているんだよ。力はね、人々のなかにあるんだ。” Antonio Roman-Alcala

この映画では、市民の草の根の運動だけではなく、それに突き動かされ、変化しつつある自治体の様子も映し出されていました。

映画を観ながら、単に実現不可能な理想ではなく、地に足のついた運動をもって、地域を、世界を変えていこうとする人々のロジックと説得力に、そしてその勢いに、圧倒される自分がいました。





なぜベイエリア?

そもそも、こうした運動がベイエリアで起こった背景にはいくつかの要因があります。

まずは、様々な社会問題。
例えば、アメリカの多くの地域で今、食の砂漠(Food Desert)という現象が問題になっています。低所得者や高齢者が住む地域で次々とスーパーマーケットや個人商店などが閉店して生鮮食品が買える場所がなくなり、近くで食べるものと言えばファストフードしかない!という環境に住む人がたくさんいます。

オーガニックフードはお金持ちの嗜好品。

それは単にイメージだけでなく、現実でもありました。

新鮮で栄養のある食べ物へのアクセスを断たれることで、肥満や健康被害が悪化。犯罪や非行も常態化して、市民も、もう黙ってはいられない!とギリギリの状況。

日本ではまだそこまで顕著ではないかもしれないですが、同じようなことは起こってきていますよね….



説明中にお菓子の差し入れがっ!!



次に、歴史。
のちに紹介する鈴木栄里さんが上映後に詳しく説明してくれました。

ベイエリアは、昔から社会運動がとっても活発な場所だったそう!

歴史で習ったあの公民権運動に始まり、環境運動、平和運動と時代の流れと共にその運動も進化。

へぇ~知らなかった!!!
その時々の社会的、地球的問題に対して、世界でもいち早く声を上げる人々が住む地域、それがベイエリアなんですね。

そして、近年、その運動の主軸はFOODへ!!
Food Justiceを訴える人種差別を受けてきた人々による社会公正運動となり、現在では、Food Sovereigntyのための食糧主権運動の盛り上がりへと展開しているそうです。

こうした要因が重なり、政府の助けをもう待っていられない!自分たちで変えなきゃ!と奮起した市民が、ガーデンを中心に自ら運動を起こし、周りを巻き込みながら確実に政治に影響を及ぼしてきているんですね。


Asaba Art Squareの建物は、ガウディを思わせる



今やガーデンを作ることは政治行為になる

急速に発展したガーデンからの社会運動。
今やアメリカだけでなく、世界中、とりわけ「本来の食」から切り離された都市でどんどん広がっています。

鈴木さんは、今や「ガーデンを作ることは政治行為」だと言っていました。

人間の歴史からしたら、「食べ物をつくる」という生きていくために当たり前の行為が、政治行為になるほど特別になってしまったなんてすごく皮肉な話ですが、すごく考えさせられる言葉だなぁと思います。


これを求めていた!上映後のディスカッション

私がこの映画を紹介したかった一番の理由は、実はこの上映後のディスカッションにあります。

上映後、映画の解説をしてくれたのは鈴木栄里さん。普段はバークレーにいて、現地の様子もよく知るパワフルなアクティビスト(活動家)。

前述したベイエリアの歴史、世界の様々なガーデンからの革命を紹介してくれました。

この後、彼女のファシリテーションで、参加者は

・映画を見て印象に残ったこと
・やりたい!と思ったこと
・すでにやっている所(知っているなら)

について話し合いました。

映画を観て、見ず知らずの人とその映画について話すなんて初めてだった私には、これだけでとっても満足だったのですが、2つ目と3つ目のテーマにかけた鈴木さんの思いに感動してしまいました。

彼女は、この上映会を、個人のひらめきや思いと、また別の個人が既に持っている知恵や情報が結び付く場にしたいと言っていました。




ただ感想を言い合うのではなくて、それを互いが協力し、知恵を出し合うことで、明日から行動に移せる積極的な情報に変えていく。

「私の地元ではこんなことやってますよ~」
「えっそれ参加してもいい~?」

目の前で繰り広げられる新しい創造にすっごくワクワクしました!

上映会もこうして最高にクリエイティブな場になるんだなぁと思った一日でした!

Edible Cityが気になった方は以下のサイトから詳細がチェックできますよ~
希望すれば自分の地域で上映会もできちゃうらしい!



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